日本瓦
1400年の期間、日本の気候風土に順応しながら培われてきた歴史のある瓦で、純粋の粘土によって形成されている。近年の新しい屋根材に比べ、重量はあるが、長期間対応し、また、粘土の特性で、夏の暑さや冬の寒さを緩和し、室内を快適な状態にしてくれる。主な生産地は、淡路島(兵庫県)、三州(愛知県)、石州(島根県)で瓦の三大産地と言われている。
●和風いぶし瓦
耐用年数50年以上
断熱性・防水性・通気性・遮音性 → ◎屋根材では最も優れている
長期経済性 → ◎初期費用は要するが、長期的には最も経済的な屋根材である
●和風 黒いぶし瓦
淡路瓦は色ツヤがいいのが特長。敢えて難点を言えば、三河産と比べると焼成温度が低いので寒冷地では凍害が起こる事がある。そこに登場したのが「黒いぶし」で、従来の「いぶし」と比較し色も黒く、寒冷地でも凍害に強い瓦である。
「従来のいぶし瓦の作り方に加えて、もう一度焼くことで吸水率が低くなり寒冷地でも安心して使える。従来の「いぶし」の色ツヤは無くなったが、独特の落ち着きと、何十年と年月をかけて徐々に黒くなっていく従来の「いぶし」瓦の色の変化が、この「黒いぶし」を採用することによって、当初から、その風合いを醸し出してくれる。特に、葺き替えなどに採用すると既存の建物とのマッチングを一層引き立てる。また、従来の「いぶし瓦」は焼きムラの発生により、葺き替えて数年で全体が一様に同時に黒くなっていくのではなく、一部の瓦だけが黒くなる場合がある。そういった経年変化は、「いぶし瓦」の特徴であるので、耐久性や瓦の性能に問題は全くないが、施主の中には、美観などを気にされる方もおられ、その点、この「黒いぶし」は最初から黒いため、そのような心配は無用。
凍害にも強く、将来にわたって色の変化が起こりにくい特徴のある淡路産の「黒いぶし」は、これからの和風屋根を更に進展させることになる。
日本瓦がユネスコ世界遺産登録されました
●和風陶器瓦
耐用年数40年~50年
断熱性・防水性・通気性・遮音性 → ◎非常に優れている
長期経済性 → ◎ 大変優れている
陶器瓦を釉薬瓦ともいい、粘土瓦の一種です。粘土を瓦の形にかたどったものの上に釉薬(うわ薬)をかけて、窯の中に入れて高温で焼き上げた瓦のことをさします。
洋風瓦
近年の洋風の建物にマッチした瓦。和風瓦の特徴と同じで焼き物の瓦。違いは形状だけで、和風瓦に比べ、波のような曲線はないが、坪当たりの瓦枚数も少ない為、施工期間も短く低コスト。和風に近い長期耐久性で経済的にも負担が少ない。各メーカーが、様々な平板瓦を製品化しているが、多少の形状の違いはあっても、機能的にはほぼ同じ。和瓦からの葺き替えを選択されるケースが増えてきている。
●洋風平板瓦
耐用年数40年~50年
断熱性・防水性・通気性・遮音性 → ◎非常に優れている
長期経済性 → ◎ 大変優れている
軽量屋根材
屋根瓦の素材としては最も格安。スレート系の素材を使用し、日本瓦や平板瓦に比べ、薄く、軽量性をアピールした屋根材。耐用年数は15~20年程度での葺き替えが標準的。一般的には、10~15年程度経過後に、表面の塗装を行うことで耐用年数を更に10年程度伸ばすケースが多い。素材の耐久性から、その後の再塗装は出来ず、最終的に25~30年程度で新しい屋根材での葺き替えとなる。初期費用は低コストではあるが、長期で見ると負担が大きく、一生の間に2~3回程度の屋根工事を要することがある。
●カラーベスト
耐用年数15年~20年
断熱性・防水性・通気性・遮音性 → △ 焼き物の瓦などに比べ劣る
長期経済性 → × 初期費用は少ないが、塗装や短期間での葺き替えを要する
新素材(軽量瓦)
屋根材としての重厚感を保ちながらも、一般的な日本瓦の半分程度の軽さが特徴。また、軽量にもかかわらず、素材そのものが粘り強くて割れにくく弾力性がある。既存のスレート系の屋根材からの葺き替えの場合は、重ね葺きができる為、撤去費を抑えることができる。 (※状態により重ね葺きができない場合もあります)
●ルーガ
耐用年数30年~40年
断熱性・防水性・通気性・遮音性 → ○
長期経済性 → △
(注記)上記記載の耐用年数・断熱性・防水性、通気性、遮音性、長期経済性などの評価はあくまで参考です。気候状況などにより変動することがありますので、その点は、ご了承ください。